☆背のうとぼうしと角笛(グリム童話集2)

グリム童話集2『背のうとぼうしと角笛』

☆大畑末吉*訳

偕成社文庫

●お宝も使い方を間違うとただの不要品。こんなものがあったらすごいけど戦うための名残でしょうか。みんなが幸せになるような使い方ができたらよかったのに。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


『オレンジ・サンセットの国』6/6

まず、最初のオレンジ色のりっぱな家に入って、サヨがついてくるようにしました。サヨも続いてその家の中に入ってきます。ちゃんと「こんにちはー。」と「おじゃまします。」と声をかけるサヨにショウちゃんは感心します。だって、他人の家の中に入る場合、必要なことですからね。オレンジ色のテーブルの上に4人分のオレンジ色のカップにオレンジの紅茶がおいしそうに湯気をたてて、置いてありました。オレンジ色のカップの横にはオレンジ色のお皿がちょこんと置いてあります。そして、隣に置いてあるオレンジ色のお皿たちが歌い始めました。そうですこのお皿にまずパンケーキを渡さないといけません。お皿は上手い具合に歌を歌い始めました。

♪おはよう。おはよう。朝ですよ。紅茶はいれたて、さあさあパンケーキを置いとくれ。置いとくれ。

ショウちゃんはサヨを見守ります。サヨは渡したくないようなことを言っています。するとお皿はさっきよりも大きな声でまた歌い始めました。

♪おはよう。おはよう。朝ですよ。紅茶はいれたて、さあさあパンケーキを置いとくれ。置いとくれ。

ショウちゃんはさらにサヨを見守ります。サヨもさらに渡したくないようなことを言います。お皿はさっきよりももっと大きな声でまた歌い始めました。

♪おはよう。おはよう。朝ですよ。紅茶はいれたて、さあさあパンケーキを置いとくれ。置いとくれ。

サヨがとうとうオレンジ色のお皿の上にパンケーキを一枚ずつ置いています。ショウちゃんはそれを見てパンケーキが食べられない残念な気持ちになりましたがひと安心しました。オレンジ色のお皿たちは静かになって、どこからかオレンジ色の人が4人テーブルに座って、パンケーキをおいしそうに食べ始めました。サヨがオレンジ色の人に話しかけないうちにサヨをまたインディゴ色の道の真ん中に戻しました。

 そして、ショウちゃんはサヨの目の前をゆらゆらと進んでいきます。サヨはまたホタルの後についてきました。しばらくいくとまたオレンジ色のりっぱな家に入ります。サヨも続いてその家の中に入ってきます。またサヨは「こんにちはー。」と「おじゃまします。」と声をかけて、その家の中に入っていきました。今度はオレンジ色のやわらかい光の射すオレンジ色のカーペットの上に小さなオレンジ色のネコに両目をつけてやらねばなりません。
オレンジ色のネコたちはサヨのまわりを「ビー玉を目にしたいからビー玉をくれよ。」とくるくるまわっているのをショウちゃんは見守ります。オレンジ色のネコたちは「ビー玉を目にしたいからビー玉をくれよ。」とさらに大きな声でせがみます。するとオレンジ色のネコたちはさっきよりもさらに大きな声で「ビー玉を目にしたいからビー玉をくれよ。」とせがみます。サヨはとうとうネコたちが気の毒になりビー玉をオレンジ色のネコたちの目に入れてやりました。ショウちゃんはビー玉をかざせないことを残念に思いましたがひと安心しました。オレンジ色のネコたちはうれしそうにサヨの周りをくるくるまわっているうちにケンちゃんはサヨをまたインディゴ色の道の真ん中にもどしました。

 そして、ショウちゃんはまたサヨの目の前をゆらゆらと進んでいきます。サヨはまたうまく後をついていきました。しばらく歩いていくとまたオレンジ色のりっぱな家に入ります。サヨも続いてその家の中に入ってきます。サヨはまた「こんにちはー。」と「おじゃまします。」と声をかけて、その家の中に入っていきました。今度はオレンジ色の庭にいるオレンジ色の子どもに緑色のなわとびをあげなければなりません。オレンジ色の子どもは「緑色のなわとび、おくれよー。」とサヨに言います。ショウちゃんはまたもやそれを見守ります。オレンジ色の子どもはさっきより一層大きな声で「緑色のなわとび、おくれよー。」とせがみます。オレンジ色の子どもはさっきよりももっともっと大きな声で「緑色のなわとび、おくれよー。」とせがみます。そして、サヨの周りをぴょンぴょン飛び始めました。サヨはやさしい子でしたからショウちゃんと同じぐらいのそのオレンジ色の子どもがとうとうかわいそうになりあきらめて緑色のなわとびをあげました。ショウちゃんは緑色のなわとびを跳べないことを残念に思いました。ショウちゃんはサヨを連れまたインディゴ色の道の真ん中にもどりました。

いよいよショウちゃんのいる場所にサヨが近づいてきました。ショウちゃんは「サヨ。サヨ。」と呼びました。そして、ショウちゃんはサヨと遊びます。でも、そろそろサヨを帰さないといけません。生きている人間は『オレンジ・サンセットの国』に長い時間いるとオレンジ色のホタルになってしまい、二度と戻れなくなります。ショウちゃんはサヨの耳からそっと石を取り出します。そして、サヨにお別れを言いました。「バイバイ。サヨ。」と。それからサヨの背中をそっと押してやりました。サヨは病院のベットへ無事に戻りました。ショウちゃんは病室の窓からオレンジ色の夕焼けに混じって、サヨとお母さんとお父さんをオレンジ色に照らし続けました。

<完>

(『オレンジ・サンセットの国』・09/03/27・hiroc8)