☆白雪姫(グリム童話集2)

☆大畑末吉＊訳

●繰り返しの有名なお話。
王子のキスでなく、ひつぎがぐらぐら揺れたはずみで喉につかえていたりんごが飛び出て目覚める。
世界でいちばんあなたをすきです。こんな一言で王子をすごく好きになってしまうなんて素直なのですね。

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『オレンジ・サンセットの国』5/6

ショウちゃんは自分の心臓を持ったサヨのことが手に取るようにわかります。サヨが何かおみやげを持っていこうと考えたときは飛び上がるほどうれしかったのです。サヨが考えたものは全部ショウちゃんの好きなものばかりでそれを覚えてくれていたことに感激していました。そうですショウちゃんの好きなもののひとつはお母さんの作るパンケーキです。お母さんはいつもパンケーキを作るときに「パンケーキの歌」と言いながらパンケーキの歌を歌いながら作ってくれました。ショウちゃんはサヨといつもお母さんになんの歌を歌っているの？と聞いたものです。お母さんはいつも決まって「パンケーキがおいしくなる魔法の歌よ。」と言います。だから、ショウちゃんとサヨはお母さんが本当は魔法使いじゃないかしら？といつも思ったものです。お母さんの歌うパンケーキがおいしくなる魔法の歌はいつも違っていました。ショウちゃんとサヨが知っている限り同じ歌がなかったと思います。お母さんの作るパンケーキはいたって簡単それなのにとびきりおいしいのです。お母さんの作るパンケーキはボールに卵を割って、お砂糖を入れてシャカシャカシャカシャカかき混ぜます。小麦粉をさらさらにして、卵と一緒にまたかき混ぜます。最後に銀色の粉をパラリと一振りします。「それなあに？」といつもショウちゃんとサヨは聞きますがお母さんは「ふふっ。」と笑って、決まって「おいしくなる、星の粉。」と言いました。ショウちゃんとサヨはいつも星の粉を入れるところが大好きです。キラキラ光るからとてもきれいなのです。フライパンをあたためて、パンケーキを焼きます。焼いているときお母さんはフッフッと息をやさしく2回吹きかけます。その後、決まってパンケーキはジュジュと答えて、おいしそうな焼き色がつきます。できあがったパンケーキにバターとメイプルシロップをかけていただきます。ショウちゃんはパンケーキのことを思って思わずごっくんとつばをのみこみました。ガラスの透明の瓶に入れて宝物としてビー玉を大事にしていたのをサヨが知っていたとは少々驚きました。ビー玉を取り出して光にかざすととてもきれいなのです。緑色が大好きでした。そうです、折り紙もクレヨンも緑色ばかり使っていました。洋服も緑色が入っていないと着ませんでした。パジャマも靴も三輪車もみんな緑色でした。そういえばお父さんも緑色の車に買い換えてくれたっけ。親というのは子どもの喜ぶ顔を見たいものですからお父さんは喜んで車を買い換えていました。緑色が好きだったのは葉っぱの色、草の色と同じだったからです。ショウちゃんは葉っぱや草に言葉がちゃんとしゃべれないうちからよく話しかけていました。葉っぱや草はショウちゃん言うことがわかるみたいにゆらゆらいつもゆれていました。緑色はいつもやさしかったのです。サヨが選んでくれた緑色のなわとびを跳んでみたいと思いました。でも、サヨが選んだ緑色のなわとびで跳ぶことができないことをショウちゃんは知っていました。サヨが持ってくるおみやげは自分のところに届く前に全部『オレンジ・サンセットの国』の住人たちに渡さなければならなかったのです。ショウちゃんのところへサヨを連れてきてもらうためです。ショウちゃんは今心臓がないから動けません。もし、心臓がなければそのままオレンジ色の一部になってしまいます。だから、サヨが『オレンジ・サンセットの国』へ来たときに自分のところまで連れてきてもらうために3ケ所通らないといけない場所があります。オレンジ色のお皿とオレンジ色のネコとオレンジ色の子どものところです。そこでオレンジ色のお皿とオレンジ色のネコとオレンジ色の子どもが欲しがったものを与えなくてはそこを通れないばかりか先に進めないのです。サヨに教えてあげることはできませんが少し手助けはできるはずです。ショウちゃんはオレンジ色のホタルになろうと思いました。だからサヨはホタルついていって、大正解なのでした。サヨが「ショウちゃん。」と呼んだ時、ショウちゃんはどんなに返事をしたかったでしょうか。声を出すことができないためパタパタ騒いでみました。サヨの前ではオレンジ色のホタルとして誘導するだけです。ショウちゃんもホタルといえば夏におばあちゃんの家の庭でみたホタルを思い出します。そのとき見たホタルはとてもきれいでした。今、自分はその時のホタルみたいに光ってゆらゆらとサヨを導きます。

6へつづく

(『オレンジ・サンセットの国』・09/03/27・hiroc8)